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産後うつ

新生児の誕生は、母親にとっても、周囲の者にとっても誠に喜ばしい出来事で、分けても両親にとってはすべてが幸福感に包まれて見えるものです。しかし、その中にあって、産褥婦の母親の気分は沈みがちになります。産後うつです。

産後うつは、産前産後に起こる急激な女性ホルモンの変化が心理面に影響を及ぼすもので、人によって出方に違いがあります。周囲の協力が惜しみなく得られ、かつ、とりわけ夫の愛情深い献身行為が見られる場合には、産後うつはほとんど生じません。逆に、望まれない出産や夫の支援がまったく得られないような状況では、産後うつがその後本格的なうつ病に移行してしまうことがよく見られます。

このように、産後うつは、心理的なケアでかなり軽減できる可能性があります。そこで、残念ながら、望まれない出産や夫の支援が得られにくい状況での出産の場合には、すぐに精神科にかかるべきです。精神保健福祉士

などのソーシャルワーカーを活用できる範囲で利用し、できる限り精神的負担と日常的な幼児の世話の負担を軽減することが望ましい。また、インターネットの産後うつのブログなどで、つらい気持ちを共有することも、うつ状況にいることを忘れさせる効果があります。とにかく、本来は、何もしないでのんびり過ごすことが必要な心身の状態なのですが、そうもいっていられないのが産褥婦のつらいところです。活用できるものは何でも活用すべきです。

テーマ : 婦人病 - ジャンル : 心と身体

更年期障害とうつ

女性にとって、若さの第一段階の終了であるとともに、さまざまな不定愁訴を伴うつらい症状。更年期障害は女性ホルモンの過剰から生じる不快な障害の総称。

ところで、女性ホルモンの変動から生じる更年期障害は、確かにホルモンの影響によって精神的にうつ状態が招来することがあります。しかし、更年期うつといった場合、通常、ホルモンの変動などの生理的な影響よりも、むしろ純粋に心理的なものが主たる原因になっている場合が多い。更年期と言えば、おおよそ40〜65歳の期間を指していますが、この時期においては、手塩にかけて育ててきた子供が親離れをし始めると同時に、夫の方も重要な責任あるポストにつき忙しい毎日をおくることから妻を顧みなくなりがちで、これが妻の心理面に空虚感を育んでいくことになるのです。そして、それが高じてくることで、うつ状態に入っていく場合が多い。更年期うつは、空虚感という心理的側面をとらえた名称として、空の巣症候群と呼ばれることがあります。家族という人間生活上の基本単位の中で、協力が得られにくいこの更年期うつは、症状が比較的進行しやすいものといえます。

更年期うつの治療自体は、うつ病一般の治療と同じですが、上述したように周囲の協力が得られにくい状況にあることから、カウンセリングとしては、家族の理解と協力にその焦点を向けることがとりわけ必要となってきます。子にとっては愛しい母親、夫にとっては愛する妻という観点で家族の絆を再認識する機会でもある更年期うつは、ある面では必要悪としての側面を有しているのかもしれません。

テーマ : 女性化・男性化・中性化 - ジャンル : 心と身体

仮面うつ病

体の調査がどうも悪い、ということで、病院で検査をしてもらう。でも、原因がどうもはっきりしない。体のあちこちに出てきた不良を調べていくうちに、背後にあるうつ病やうつ状態が原因だと分かる。これが仮面うつ病です。うつ病が仮面によって隠れているように見えるところから、その名の由来があります。

仮面うつ病では、頭痛、胃痛、肩こりなどの症状が強く出てきますが、これらの病因が特定できない不定愁訴として取り扱われ、通常ですと、ひどい頭痛ならば脳神経外科で、胃痛なら内科で、それぞれ対症療法を受けます。しかし、この処方で平癒することはありません。結局、あれこれ検査しても病因が定まらない場合に、医師の方で、精神疾患からきている可能性を疑うことになり、精神神経科や心療内科へ紹介されることになります。そして、そこで、うつ病の診断が下りることになります。

仮面うつ病の場合は、確かに、当初から精神状態がうつ的傾向にあるわけですが、それがひどい不定愁訴が原因の落ち込みだととられがちで、これがうつ病の早期発見を遅らせる主因となっています。それだけ仮面うつ病の判断は難しいのです。そこで、対症療法の治療がうまくいかなかった場合には、単に病院を変えるだけでなく、一応はうつ状態を疑ってみるという姿勢をとり、精神科の門を叩いてみることが仮面うつ病の早期発見、早期治療に資することになります。

テーマ : 鬱から癒しへ - ジャンル : 心と身体

うつ対策

うつ対策には、健康の増進と疾病の予防という一次対策と、早期発見、早期治療によって病状の進行や障害への移行を予防するという二次対策、そして病態を最小限に抑えることでうつ病患者のQOL(生活の質)を維持するという三次対策があります。

一次対策において大切なことは、うつ病に対する正確な知識を普及させることです。まさしく、うつ病に対する知識なくして、うつ病の治療なし、です。

二次対策においては、地域社会で、うつ病患者に対して活用できる具体的なスクリーニング方法と介入アプローチ方法が具体化される必要があります。スクリーニングの実施や相談窓口を地域に設けることで、うつ病に対する住民の認識を高め、ひいては心の健康についての機運を高めることが可能となります。

三次対策においては、個別訪問や相談を通じての個別ケア、うつ病患者やその家族の支援に重点が置かれます。うつ病患者自身のケアの影につい隠れがちな家族への支援は、結局、患者自身の病態に大きく影響してくることは言うまでもないことでしょう。

このように、うつ病の対策においては、知識の普及、病気かどうかの確認、そして病気であった場合でのケア及び支援の、三本柱を機軸に、それぞれの体制を個別具体的に考えていく必要があります。

うつ病は現代病になり、偏見こそなくなってきたものの、知識的な面ではまだまだ一般人の認識においては十分というにはほど遠い状況にあります。地域社会全体で取り組んでいくべき課題です。

テーマ : 鬱病 - ジャンル : 心と身体

抑うつ

厚生労働省の発表によると、現在、国民の60人に1人が何かの精神疾患で治療を受けています。受診歴のある人を含めるとその数はさらに多くの人が精神科を受診していることになります。そして、精神科にかかるほどになった精神疾患の多くは、抑うつ病です。

抑うつ病では、基本的には、通院での治療となります。ただ、重度で死にたいという気持ちが強い場合や経口摂取が困難な場合、あるいは、環境を変えて治療することが必要と認められる場合などは、入院が考慮されます。具体的には、以下の場合、入院治療が考慮されます。

自殺念慮(自殺願望)が特に強い場合や食事を摂るのが困難で衰弱が著しい場合、焦燥感(いらいら感)が激しくコントロール不能となった場合、外来の治療ではよくならない場合、自宅で静養することが諸般の理由で困難な場合です。

抑うつの場合、治療者や治療適性者が、精神薬一般に懐疑的な場合が多いものです。その場合には、治療者や治療適性者に対して、抑うつが本人の弱さやいたらなさから生じたのではなく、心理社会的なストレスによる脳の変調が原因であり、その変調を直すために薬が必要だという説明をすると少し安心する傾向があります。その際、薬の依存症や副作用がない旨伝えることが大切です。

抑うつ病は、ストレス社会にはつきものの精神疾患であり、その治療に関しては、本人の病気の自覚と周囲の理解の中で進めていくことが大切です。

テーマ : うつと暮らす - ジャンル : 心と身体